第五話 ―少年と引きこもりと捕らわれの桃香―
―――ここ・・・どこ・・・?
八神桃香は研究室の様な所にいた。
周りはピカピカと夜空の星の様に光っている機械に囲まれていて、数人白衣を着た人達がいた。
「やは・・・て・・・方法は・・・なんでしょうか・・・」
「とは・・・・に方法が・・・・ぞ?」
「しかし・・・それで・・・見つから・・・死・・・ですか?」
「現在・・・では・・・解明・・・ないのか?!」
何か話している。断片的にしか聞き取れない。
それが八神桃香の種を調べ量産し、種を持たない人間(れっとうせい)が種を持った人間(ゆうとうせい)に対抗する術を見つけるための算段だとは知るはずはない。
八神桃香は消滅の種(イレイザーシード)の育てる者(グロウター)。
物理的なものでなければ八神桃香の30cm以内に入っただけでどんな攻撃でさえも、魔法でさえも、核爆弾の爆風でも。
―――そして種の能力でさえも消してしまう力。
もちろん、身体検査などほとんど意味は無く、レーザーなどの光線も消してしまう。
桃香(あれ・・・私何してたんだっけ・・・? 確か・・・お兄ちゃんが帰ってくるの待ってて・・・それで・・・?)
八神桃香の記憶はそこからわけがわからなくなっていた。
まるで誰かが無理矢理消しゴムで消した様に。
ごちゃごちゃしている頭の中で考える事はただ一つ。
桃香(お兄ちゃん・・・・)
八神桃香はテレパシストになったかの様に強くお兄ちゃん―――八神祥吾が助けに来てくれるように願った。
助けに来た八神祥吾は空から降ってきて少し寒い冬の匂いがしていた―――
☆
―――そこは傍から見ればただのビルの様な会社だった。
円柱の様な形で高さは10階程度はある。
祥吾「だーかーら!! 妹がここに来てるんだっつーの!!」
受付「そんな事言われましても・・・入場者リストの中に無いものは無いのです」
熱くなっている祥吾の熱を冷ますかの様な冷たく、冷静な声。
祥吾らは受付で悪戦苦闘していた。
しかし、というかやはり、というか入場者リストの中に八神桃香という名前は無かった。
涼「・・・・祥吾ちん、一回外出ようや?」
涼は何か作戦がありますぜ、親分。とばかりに目配りをし、祥吾を外に連れ出そうとした。
納得はいかないが、今は何もしないよりいいと思い、受付のお姉さんを一度睨みつけて涼についていった。
少し丸まった感じの自動ドアが開き、二人は外へ。
近くに生えている大きな木の下へ行き、座って話し始めた。
祥吾「で、何かあんのかよ?」
涼「一個考えたんやけどな、よく考えたらものすごいリスク背負う事になるで?」
一人で腕を組み深く考えている。
しかし、今はどんな可能性にもすがりたい。
祥吾「何でもいいから言え!! どんな事をしても桃香を助けんだよ!」
涼「・・・せやな・・・」
少し間を空け、ニヤリと笑いながら
涼「ここの従業員二人分ぶっ倒してIDカード奪うんや。」
不敵な笑みを浮かべてさらに続けた。
涼「さっきちょっと見て来たんけど、IDカードがあればエレベーターが使える。桃香ちゃんがいる所はわからんけどこーいった場合は最上階やろ。RPG的に。せやけど、成功しても桃香ちゃん見つけられる可能性は低いし、この時点で失敗すればオレらお尋ねモンや」
受付で祥吾が戦っていたにも関わらずどこにいたかと思えば―――
祥吾「・・・バレたらどーすんだよ―――でも、それしかねぇよなぁ…!!」
右手の拳を握り、開いた左手にパチンとあわせるといきりたった。
涼「ハハ、祥吾ちんならそう言うと思ったわ」
と、意見がまとまった所を丁度計ったかのように横の道にひょろ長い二人がいた。
その桜木防犯の制服を着た男二人を木の陰に連れ込み、制服とIDカードを剥ぎ取ると急いで着替えて二人を木に縛った。
幸い、二人は引きこもり体系で高校1年生でも余裕で勝てる程度だった。
「き、貴様ら!? こんな事してどうなるかわかってるのか?!」
「やめろ、高田。それ、桜坂の制服だろ? 通報したらどうなるか―――」
涼「アハハハハハ!! 祥吾ちん、それブカブカやん!!」
などと、従業員を無視して緊張感なく爆笑しているアホ男。
祥吾「うるせぇ!! お前だって全ッ然似合ってねぇじゃねぇか!!」
涼「祥吾ちん!! そりゃタブーって奴やん?!」
祥吾「知るか! さて――――――んじゃ、行くぞ!!」
金髪アホ獅子ヘアーを横にし冷静に、再度桃香がいる場所―――桜木防犯会社へ足を踏み入れた。